前年はベスト4敗退を喫した「全日本ベテラン」シングルストーナメントですが、2008年もはランキング1位を獲得していたことから、第1シードでの出場となりました。絶好のチャンスですから、今年こそ優勝目指し再挑戦。夢の「日本一」の座を手に入れるべく、気合を入れて大会に臨みます。
昨年までの「全日本ベテラン」は、対戦経験のない未知の選手がほとんどでしたが、この年は一般大会でも顔を合わせたことのあるプレーヤーが数多く出場しているのが印象的でした。その状況に「もしかして僕のベテラン挑戦が刺激になったのかな?」と、内心ニンマリしつつも、気持ちを引き締めてコートへと向かいます。
トーナメントの1回戦、相手は浅井正之選手です。この試合、第1セットを6-2で先行。競り合いとなった第2セットも7-5で逃げ切りって、2回戦進出を決めました。浅井選手とはこの後ダブルスの決勝で再び戦うことになるのですが、この時はまだ知る由もありません。
2回戦で対する竹中雄二選手は、奇しくも前年大会の2回戦でも顔を合わせた相手です。その時は6-3・6-3で勝ちを収めましたが、この年も6-4・6-3で勝ち上がり、3回戦へと駒を進めます。
最高気温25度を超える季節外れの暑さの中、3回戦は長丁場の戦いとなりました。相手は昨年の「毎日テニストーナメント」決勝で優勝を争った横山督選手。この試合、立ち上がりから互いに粘る展開となり、ファーストセットを6-4、セカンドセットは2-6と、両者でセットを分け合います。
そして迎えた第3セット、3時間以上にもおよぶバトルの末に、横山選手が暑さと疲労から全身痙攣(けいれん)に陥り試合続行を断念。途中リタイアによる不戦勝(RET)となったため、ベスト4進出が決まります。
4回戦となる準決勝はインドアコートでの対戦でした。相手は第3シードの佐々木博選手をストレートで破って勝ち上がった、第5シードの谷川美雄選手。一般大会でも、日本ランキングトップ10プレーヤーとして活躍した実力派です。以前から知っている選手ですが過去の対戦実績がないため、今回が初顔合わせとなりました。
谷川選手は、この大会のために10kg近く体重を絞り込んでおり、気迫が漲(みなぎ)っています。しかもシングルスのみの出場なので、ダブルス同時出場の僕と比べてスタミナ面でも有利なはずです。対する僕は、長丁場となった前のラウンドのダメージが蓄積していた上、ダブルスでの疲労も重なっています。体調は決して万全とは言えませんでした。
満身創痍(まんしんそうい)の僕は、立ち上がりから流れを掴(つか)めず、ファーストセットを2-6であっさりと落としてしまいます。しかしセカンドセットでリズムを取り戻し、ギアを上げて拮抗した展開に持ち込もうとします。しかし谷川選手は攻撃的なプレーで押さえ込もうと、さらに闘志を燃やして対抗します。激しいせめぎ合いの末、このセットも5-7で落としてしまい、ストレートで黒星を喫しました。
この年の「全日本ベテラン」シングルスはここで敗退です。僕は昨年と同様に、ベスト4止まりという戦績で大会を終えました。悔しさの残る結果となりましたが、この大会で出会った強豪選手たちの存在が励みにもつながりました。
谷川選手はその後、僕がダブルス2回戦で辛勝した右近選手と決勝戦で激突。強豪選手を危うげなく6-2・6-3で退け、「全日本ベテラン」シングルス初出場で初優勝を飾ったのでした。
「この人たちに勝たないと、本当の日本一とはいえない。次こそもっと上をめざそう」。僕はそう心に刻み、来たるべき2009年へ向け決意を新たにしたのですが……。