第59話 草トーで磨いた「勝利の方程式」 | 佐藤政大 公式サイト

僕は思うのです。ベテラン大会というのは、「ジュニアや一般で良い成績が残せなかったとしても、夢を諦めずに挑戦し続ける人たちの戦いの場」であると。そこは「昔強かった人」ではなく、「今強い人」が勝つ、言い訳のきかない真剣勝負の場です。僕にはそれがとても新鮮に感じられました。

だからこそ僕も対戦相手にリスペクトを払い、どんなときも真剣な気持ちで挑戦しよう。僕はそう自分に言い聞かせ、心を引き締めて大会に臨みました。

さて、いよいよ「全日本ベテラン」ダブルス本選です。初戦をストレートで勝ち上がった僕たちは、2回戦で右近貴志・綿谷義樹ペアと対決します。これが初めての対戦でしたが、試合開始早々からその強さに圧倒されました。この試合、結果として6-3、6-3でのストレート勝ちを収めたので、スコアだけを見ると無難な戦いように見えますが、実際はとても中身の濃い試合でした。

レシーバーが相手のサーブを破ってゲームを取ることを「ブレイク」と言いますが、この試合では互いにこの「ブレイク」を取り合いながら、1ゲームを争う激しい展開となりました。僕たちは草トーで培った「1セットを勝ち抜くための方程式」を徹底することで、一進一退の攻防が続くタフな戦いを制することができたのです。

テニスではサーブを打つ「サーバー」と、サーブを受ける「レシーバー」が、1ゲームごとに交代しながらゲームを進めていきます。1ゲーム終わる度に、サーブ権が交代するということです。

当然、ボールをコントロールできるサーバーが有利ですから、ここでシンプルに「サーバー」がゲームを取ると仮定すると、○1-0●、●1-1○、○2-1●、●2-2○、○3-2●という展開になります(先攻が自分、後攻が相手/○がサーバー、●がレシーバー)。

ですが、もしここで相手のサービスゲームをブレイクすると、カウントは●4-2○となり2ゲーム先行します。その後再びサーバーがゲームを取り合う展開に戻ったとすると、○5-2●、●6-3○となり、2ゲーム左のままそのセットが終了します。

このことはつまり「自分のサーブを絶対に落とさずに、相手のサーブを1回でもブレイクすれば必ず勝てる」ことを意味します。特にダブルスの場合、二人で守るためディフェンスが堅くなるので、この法則がより際立ってくるのです。

このように自分たちのサーブゲームは絶対にキープし、相手サーブゲームでブレイク先取するのが、僕たち黒田・佐藤ペアが草トーで培った必勝戦術です。

通常、テニスは3セット(グランドスラム男子は5セット)で行われますが、社会人対象の草トーは、開催日程が週末2日間と短いため、試合の勝敗を1セットのみで決めていきます。そこで僕たちが1セットマッチを確実に勝ち抜くために編み出したが、この「必勝戦術」でした。

とはいえ先ほどの理論通りに試合が進むとは限りません。実際の戦いでは、こちらのサービスゲームを相手にブレイク先取されてしまうことも起こり得ます。そうなった場合は、もう一度相手のサーブゲームを奪い返す「ブレイクバック」が必要になります。その対策として僕たちがとったのが「2バック」体制でした。

「2バック」とは、ペア2人そろってサービスラインより後ろにポジショニングする、守備的な陣形です。ネットから距離があるため、相手サーブに余裕を持って対応できるので、ネットプレーヤーの足元に沈める弾道や高い軌道を描くロブなど、敵の陣形を崩す返球が可能になります。打ったボールが相手前衛を抜いたらすかさず前に出て、広がったスペースを目掛けて叩(たた)き返す。それが僕たちの勝利パターンでした。

ただしこの戦術は、多用し過ぎると相手に読まれてしまいます。状況に応じて臨機応変に対応を切り替えることが必要です。黒田君と僕は戦術の引き出しをいくつも共有していたので、阿吽(あうん)の呼吸で戦い方のパターンを変化させていたのです。

それらの戦術パターンが、二人が草トーで培った「1セットを勝ち抜くための方程式」です。このあたりの詳しい戦術は「テニスダブルスの必勝術(実業之日本社)」に掲載されていますので、興味のある方はご一読いただければと思います。

ダブルスプレイヤーとしての僕は、パートナーに合わせて戦術を組み立てていくタイプです。例えば黒田選手と組む場合は、タイミングやコースをずらして相手のミスを突く戦い方を軸にゲームを構築していきますし、一般大会でパートナーを組んだ伊藤選手や、後に「ITFワールドテニスマスターズ」でパートナーを組む有本尚紀選手とプレーする場合は、二人とも積極的にネット前に出て、速いボール展開で相手を圧倒する攻撃的な戦い方を実践しています。

ダブルスで勝つためには、ペア同士のポジショニングとコミュニケーションが重要です。自分のプレーススタイルを決めつけず、どうすればパートナーの強みを引き出せるか。

そのことを考え、相手によって自分のスタイルを柔軟に変化させられれば、誰と組んでも勝率を高めることができます。組めるパートナーが多いほど大会への出場機会も増えますし、ポイントもより多く稼げるようになります。それにより、自分のテニスの幅も広がっていくはずです。

 

関連記事

  1. 気持ち…

    2018.06.5

    気持ち…

    勝ちたい負けたくないどちらも同じなのでは…と 思いますよねですが これが負けたく…

    気持ち…
  2. 2017.04.13

    まさかの事態

    羽田空港からフランクフルト乗り換えてデュッセルドルフへ羽田空港からはANAだったので 乗務員…

    まさかの事態
  3. 人生初の…

    2019.01.14

    人生初の…

    本日はシングルス初戦がありました。対戦選手はRichard DODSON (AUS)シン…

    人生初の…
  4. 成長する為に…

    2017.11.16

    成長する為に…

    投稿遅れました…タイから帰ってきたら 携帯電話とタブレットが調子悪く やっと昨夜 地元に戻ってき…

    成長する為に…
  5. タイ合宿…

    2020.02.17

    タイ合宿…

    3月上旬からシーズンスタートいきなり負けられない戦いが始まります日本の寒さでほとんど身体…

    タイ合宿…
  6. 悔しい…

    2019.11.1

    悔しい…

    世界選手権大会45歳以上男子ダブルス準決勝で負けてしまいました😖今は率直に悔しい と…

    悔しい…
  7. 土曜日…

    2017.05.8

    土曜日…

    けっして イジメにあっているわけではありません。ファイト〜 おぉ〜〜 ✊🏻 &nbs…

    土曜日…
  8. やったぜ✌🏼

    2017.04.29

    やったぜ✌🏼

    準々決勝スタート15時30分すべての準備をここに合わせてきました 11時頃に会場入りして 練習コ…

    やったぜ✌🏼
  9. ん〜 今年も…

    2019.12.24

    ん〜 今年も…

    昨日は毎年恒例になりつつある日本商業開発株式会社テニス部(仮)忘年テニス焼肉会大…

    ん〜 今年も…
お問い合わせ
PAGE TOP