2008年、「全日本ベテランテニス選手権ダブルス」への参戦、そして優勝を目指し、黒田貴臣・佐藤政大ペアが動き出します。まずは大会出場資格を得るため、公式戦で上位入賞してポイントを稼がなくてはなりません。
僕たちが最初に選んだ大会は、有明テニスの森公園と昭和の森スポーツセンターで4月に行われる「東京オープンテニス選手権」でした。黒田・佐藤ペアにとってベテランダブルスデビュー戦となったこの大会、これまでの二人が実践で得た実力を出し切り、手堅く勝ち上がることができました。結果僕たちは、初出場・初優勝を飾ります。幸先の良いスタートとなりました。
次に選んだ戦いの場は、同じく有明テニスの森公園で5・6月に開催される「関東オープンテニス選手権」でした。この大会、初戦はフルセットのタフな戦いとなりましたが、2回戦は6-1・6-2のストレート勝ち。第2シードの横尾厚志・小山紀三男ペアとの対戦となった準決勝も6-4・6-1で快勝し、決勝に駒を進めます。
ファイナルで対するのは、第1シードの浅井正之・小田切弘ペア。男子ダブルス35才以上のランキング1・2位の強敵です。だからこそ気持ちでは絶対に引かず、それでいて勝ち急がず、相手に流れを渡さないよう安定したストロークを軸とする戦いを心がけました。その結果、6-2・6-2のストレートで勝利し、優勝を果たします。
これにより僕のランキングは50位から17位に、ランク圏外からスタートした黒田君も27位まで急上昇。「全日本ベテラン」の出場資格が得られる32位以内に到達することができました。
ですが安心はできません。ここで大会出場をやめてしまうと、他の大会に出場する強敵たちがポイントを獲得し、二人のランキングを追い越していくかもしれないのです。
二人に残された選択肢は、大会参戦の継続しかありません。そこで僕たちは、出場資格獲得を賭けて8月に兵庫県を舞台に開催される「関西オープンテニス選手権」に出場します。そして順調に勝利を重ね、3大会連続優勝を果たしたのです。この結果、僕たち二人は揃ってダブルスランキング1位タイに躍り出ます。
これにより、黒田・佐藤ペアの「全日本ベテラン」の出場が確実になりました。
そして迎えた10月8日。「第70回全日本ベテランテニス選手権大会」がついに始まりました。会場は愛知県の東山公園テニスセンター。待望のダブルス初出場、もちろん第1シード枠での挑戦です。
僕たちにとってベテランダブルス初挑戦となるこの大会。相手は未知の選手ばかりです。ジュニアや一般の大会で当たったことのあるプレーヤーも見当たりません。そのため、出場選手のデータがほとんどない状態での戦いとなりました。手探りの中での対戦となりますが、同様に相手も僕のことは知らないはず。条件はどちらも同じですから、いつも通り本気で戦うだけです。